令和6年度ふるさとのいのちをつなぐ 生物多様性こうちプラン大賞


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令和7年1月18日に、令和6年度 ふるさとのいのちをつなぐ生物多様性こうちプラン大賞交流会を開催しました。
交流会では、県内各地から応募した9組の団体がそれぞれの活動をまとめたポスター等を展示して発表し、選考委員会により大賞4組と奨励賞1組が選ばれました。

令和6年度ふるさとのいのちをつなぐ 生物多様性こうちプラン大賞

また、ポスター発表の前には、愛媛県立長浜高校水族館部が「水族館部は救う、町も学校も!〜日本唯一の水族館部の挑戦〜」と題して活動発表を行い、水族館部が飼育しているクラゲの観察や餌やり体験などで来場者と交流しました。

令和6年度ふるさとのいのちをつなぐ 生物多様性こうちプラン大賞

「つなげるで賞」

『昆虫標本の維持・活用』
高知小津高校生物部 (高知市)
高知小津高校生物部は昨年度から、高知昆虫研究会と協力して、昆虫標本を外部から預かり、データベース化・保管する活動を始めています。標本の中には現在では見られないものが含まれており、環境と生物の変化を考える教材にもなっています。また、高知県内で採取された貴重な標本を維持管理し、後世に受け渡すという使命感をもって活動しています

小津高校生物部
選考委員コメント
  • 生物標本の重要性は、NHKの朝の連続ドラマ“らんまん”で広く知られるようになりました。DNAの解析技術が格段に進歩した今では、更にその重要性がクローズアップされています。その重要な生物標本を維持管理し、データベースを作成するという、一見地味な活動に使命感を持って打ち込んでいることに対し敬意を表したいと思います。高知県では、過去に作成された貴重な生物標本が行き場を失い、県外に流失する状況が続いています。そのような状況に危機感を抱いている人たちが、自然史博物館を作ろうという活動を始めていますが、皆さんの活動はそれを支え、後押しをしてくれる重要なものです。今後の活動の継続と発展を期待しています。
  • 貴重な標本を構成に繋ごうとする、これからの活動に大きく期待します!
  • 使命感をもった地道で粘り強い取り組みにとても感心しました。また、過去の生物の標本整理等は現在・未来の環境や生態系を考える貴重な学びの機会となっていると思います。今後の活動でいろいろな発見があれば、ぜひまた発表してほしい。
  • 高校生の団体で果たせる社会的な役割だと感じました。一方で、生徒のみなさんが楽しみながら活動できるようになってほしいとも願います。ネットでの発信を期待します。
  • 危機的な保管状況にあり、また、有効に活用されていなかった標本を救い、光を当てるすばらしい取組だと思います。生物部として、生き物の飼育もしながらの取組で大変だと思いますが、多くの県民の目に触れるようになり、認知度が向上することで、より広い取組になることを期待しています。

「広めたで賞」

『高知大学同好会いきものやの活動報告と今後の取り組みについて』
いきものや (高知市)
いきものやは博物館の方と連携した標本作成、学生たちで行う生き物の観察会、調査を通して、高知の豊かな自然環境を学び、楽しむ高知大学の同好会です。私たちが学んだ知識、考えをわかりやすく、楽しく、体験を通して伝えることで、生き物への興味を少しでも持ってもらい、自然環境、生物多様性の保全につなげる活動をしています。

いきものや
選考委員コメント
  • 昨年から会員数が大幅に増えたようですね。活発に活動を推進している様子が見て取れて、とても頼もしく感じました。昔と比べると、高知の自然の豊かさはかなり減少してしまいましたが、それでも他県と比較するとまだまだ豊かな自然が残っています。皆さんは、実際の調査や観察を通して、そのことを実感されておられると思いますので、豊かな生きものたちの暮らしぶりを更に多くの仲間たちに広めて、高知の自然を守る大きな推進力になってくれることを期待しています。
  • 若者のよさや特技を存分に生かして楽しく学べる企画や取組ができているように感じました。特に観察会などの参加者のために、活動中や活動後にオリジナルなワークシート等を使用し、参加者一人一人の学びを残すことにも意識されており、活動で終始していない点が今後のよいモデルのヒントになるのではないかと思いました。
  • 昨年から今年にかけての伸びに最も勢いを感じました。大学での活動としては、やや地味な部類に入るかもしれませんが、それをここまで大きくしてきたことは素晴らしいと思います。高知県の生物多様性保全の4番バッターを担う団体となると思いますので、今後のますますの広がりを期待しています。
  • 一年で飛躍的な発展をしているいきものやさんにびっくりしました。よりぬきのオタクが集まっている感じで、これぞ大学のクラブ… どんどんオタク度を高めるだけでなく、外への発信もすばらしい。
  • 新しい団体が大きくメンバーを増やして活発になっていることの魅力を十全に感じました。世代を超えた広がりにも期待します。社会人になったメンバーでNPO的な活動に発展すると良いな、とか、いろいろと期待をしています。

「守るで賞」

『ようこそ 遠山自然公園へ』
遠山を守る会 (四万十町)
遠山自然公園は、知る人ぞ知る希少植物の宝庫です。遠山と名前がついていますが、山ではなく、里山に続く草原と湿原です。元々は人の手によって耕作管理されていた田畑でしたが、人が手を入れなくなって植生が変化し、ネザサが茂って希少な植物が姿を消しかけた15年ほど前に、四万十町が購入。私たち「遠山を守る会」は、年間を通じて草刈りをし、毎年2月にはボランティアを募って火入れも行って希少な植物の保護保全活動をしています。普段は一般に開放していませんが、定期的に観察会を開き、希少な植物を身近で観察してもらい、植物に親しみ植物を楽しんでもらっています。

遠山を守る会
選考委員コメント
  • 遠山へは何度か伺い、今は亡き池田さんに案内していただいたことがあります。いまではとても希少になってしまった里地・里山の植物がたくさん生育していて驚きました。遠山はまぎれもなく高知県の里地・里山の植物の多様性を今に残す貴重な自然です。里地・里山は、われわれ日本人が原生的な自然を改変しつつも、持続的に自然からの恵みを受けながら生活してきた、いわば日本人の生活様式を支えてきた自然です。そこには自然をうまく利用してきた日本人の知恵と経験が詰め込まれています。しかも、人間の活動によって、原生的な自然に勝るとも劣らない多様な動植物が生息する自然を作り出してきました。そのような貴重な自然を守り、その大切さを普及している活動は、これからの高知県の生物多様性を守り育てていくためのとても良いお手本です。今後の活動のさらなる発展を期待しています。
  • 守る会やボランティアの方々が遠山の自然がずっと大好きで、守りたい、次世代につなげたいという熱い思いが十二分に伝わってきました。その情熱と守る知恵をぜひ他地域にも広めていってほしいと思います。
  • 希少な環境をありのままに残す活動に敬意と感謝しかありません。自然と人が長年協力して創りあげた世界を繋いでくださってほんとうにありがとうございます。
  • 四万十町の自然公園をガイドさんを依頼して散策し、その後、食事して松葉川温泉に入るような一日を家族で過ごすことができたら、すごい贅沢だろうなと思いながら発表を聞きました。みなさんが四万十町を超えて集まっている、それぞれの思いを、もっと聞きたいと思いました。
  • 多くの方と関係を作り、楽しみながら自然環境や生物多様性の保全に取り組んでいらっしゃり、まさに活動のお手本となるような取組だと思いました。次代を担う若い方々がさらに多く加わり、より広く、将来に向けて継続した取組になることを期待しています。

「守りつなげるで賞」

『郷土の自然 ぼくらが受け継ぎ 未来につなぐ』
香美市こどもエコクラブ (香美市)
「香美市こどもエコクラブ」は結成15年目。(1)物部の自然林で起こっているシカ食害から山を守る (2)クールチョイスを地域に広める を活動テーマに、さおりが原、みやびの丘、物部川流域、海岸等で環境を守る活動を続けて来た。木のラス巻き、土止めのヤシマットの設置、植物再生のための保護柵づくり、植樹、下草刈り等の活動を継続する中で、山の緑が少しずつ再生の兆しを見せ始めた。
植物がよみがえり始めると、昆虫や鳥たちが戻って来始めた。山の復活は絶望的だと思っていた子どもたちの歓喜!環境のバランスの崩れる危険性と生物多様性の重要性を伝えたい。 自然の復活には行政や団体、多くのボランティアや学校の取り組みがあったことを伝えたい。

香美市こどもエコクラブ
選考委員コメント
  • まず感心したのは、発表してくれたこどもエコクラブの皆さんがとても元気で、しかも実際の経験に裏打ちされた確かな説明をされていたことです。多様な活動とそれを支える地域の人たちのサポートによって、皆さんが自然を観察する確かな目とそれを守っていくための方法をしっかりと身に着け成長している様子を感じることができ、とても嬉しく思いました。このような経験を積んだ若い世代が育っていることを、とても心強く思います。こどもエコクラブの活動を高知県全体に広げていく必要性を強く感じました。
  • 物部の山の再生に子供たちが立ち上がって様々な成果を出している活動と共に子供たち自身もその中で成長している姿が見られ、非常に優れた取組だと感心しました。連携・協働も定着しており、今後も大いに発展が期待されると思います。
  • 15年の歴史あるクラブのなかで、良いつながりが地域にできていること、それが若い世代が高知で暮らす選択をすることにつながると素敵だと思いながら発表を聞きました。地域の中学校区に一つぐらい、こうした集まりがほしいと感じました。
  • 活動目的がひとつひとつ明確であり、発表のレベルも高くて、しかもみんな楽しんでやっているのが伝わってきてすごかったです!
  • 地域の方々の協力も得ながら、先輩から受け取ったバトンを上級生が下級生につなげていくというエコクラブ活動のトップランナーの取組で、新聞も発表も素晴らしいできばえでした。
  • みなさんの活動が、高知県の自然環境や生物多様性の保全にしっかりとつながっていくと思いますので、これからも多くの仲間に加わってもらい、エコクラブの活動をずっと続けていってほしいと思います。

奨励賞

『室戸でのミミズハゼの調査と普及活動』
小野 晄 (高知市)
私は、個人で室戸岬東部沿岸でのミミズハゼの採集と調査を行ってきました。ミミズハゼ属は、潮間帯の砂礫間という特殊な環境に適応してきた魚類の仲間です。彼らは、様々な環境に適応し、多様な形態とユニークな生態を持っています。そして、室戸岬は、その特異な地形により、様々な環境の海岸が見られます。
ミミズハゼに中学2年で心を奪われた私は、中学3年生から現在に至るまで、室戸に生息するミミズハゼの分布を明らかにし、多くの人に貴重で奇怪な魚、ミミズハゼのことを知ってもらうための活動を行ってきました。

小野晄
選考委員コメント
  • ミミズハゼという特殊な環境に生育する魚を通して自然をより深く観察していることに感心しました。ミミズハゼ類は、生物が多くの種に分化していく過程を考えるうえでとても魅力的な対象ですね。海岸や河口の砂利を楽しそうに掘っている小野さんの姿が目に浮かびます。ミミズハゼをきっかけにして、高知の河川や海岸の環境の保全について目を向けながら、ますます活動の幅を広げてくれることを期待しています。
  • ミミズハゼという一見かなりマイナーな生き物をベースにしながらも、自然環境や生物多様性の保全という大きな視点を持って活動をされていて、大変有意義な取組だと思います。継続した活動、そして新種の発見などにより、さらにミミズハゼの知名度が上がり、より多くの県民の方に知ってもらうことで、高知県の生物多様性の保全につながるよう今後のますますの広がりを期待しています。
  • 地域の生物に魅せられた個人研究の楽しさ、面白さを熱心に語り、聞いている人たちも共感してくれたと思います。また、持ち前の好奇心と行動力を活かして、専門機関と連携し研究という視点をもって活動しているのがとても頼もしく感じました。
  • 小野君は根っからの研究者なので、このまままっすぐ育っていって欲しいです。きみのような研究者が将来の日本の国力、底力となるんですよ。心底研究を楽しんでください。
  • 大学生になる2人の子どもを育てた立場からは、どうやったらこうした高校1年生が誕生できるのかと驚きました。世代を超えた交流もあるようで、これからもつながりを深めていくことを期待しています。

選考委員

石川 愼吾
高知大学名誉教授、生物多様性こうち戦略策定委員長

岩内 史子
生活協同組合コープ自然派しこく 顧問

川崎 弘佳
高知大学教育学部 非常勤講師

川竹 大輔
高知大学 次世代地域創造センター(地域サステナビリティ部門)
同 研究国際部地域連携課 専門員(地域人材育成担当)

川村 幸司
NPO法人れいほく田舎暮らしネットワーク 事務局長

濱口 卓也
高知県林業振興・環境部 自然共生課長

募集

◆ 応募方法:ホームページの応募フォームまたは所定の応募用紙に必要事項を記入し、
 メールか FAX、郵便で事務局へ送付又は持参
◆ 応募期間:令和 7 年 10 月 1 日(火)〜11月30日(土)
◆ 応募数:9 件
◆ 応募対象者:高知県内で生物多様性の保全と持続可能な利用に資する取り組みを行う個人、団体、学校、事業者、市町村等
◆ 選考基準
(1)波及性→優れた活動事例として、他のモデルとなるようなもの
(2)共感性→活動を応援したり、紹介したり、また、参加したくなるようなもの
(3)創造性→生物や生態系のことを考え、活動内容に創意工夫があるもの
(4)地域性→地域の課題に対応し公共に資するもの、高知らしいもの
(5)協働性→連携・協働、ネットワーク化などを志向したもの
(6)将来性→活動の継続性や発展性が期待されるもの
◆ 表彰の種類
・大 賞(4組) 賞状、副賞3万円(又は相当品)
・奨励賞(1組) 賞状、記念品

>>令和6年度募集要項(PDF)

選考・表彰

◆「生物多様性こうちプラン大賞交流会」への参加
 応募者がそれぞれの取り組みをまとめたポスター等を展示し、他の応募者等とコミュニケーションを取りながら活動内容を伝え合う交流会を行いました。
 交流会に参加した全応募者の中から、選考委員により大賞4組、奨励賞1組を選考しました。
 ◇ 日 時:令和 7 年 1 月 18 日(土)11:00〜16:00
 ◇ 会 場:こうち男女共同参画センター「ソーレ」 3階 大会議室
      (高知市旭町3丁目115)