「環境活動って何ですか? マイスターに訊く、豊かな未来のために必要なこと」密着レポート


今回のえこらぼ密着レポートは、1月28日に開催された
えこらぼ主催イベント「環境活動って何ですか? マイスターに訊く、
豊かな未来のために必要なこと」のご紹介。

このイベントは、高知県内で環境活動を行っている団体や個人の方に、
具体的な取り組み事例をご紹介いただき、これから環境活動を始めたいと
考えている方へのアドバイスやヒントにしてもらうために企画。
各団体の皆さんと交流を深めることで、県内の環境活動が広まっていくことを
目指して開催しました。

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会場は高知工科大学永国寺キャンパス多目的ホール。
13時の受付開始からお子さんから大人まで、ぞくぞくと人が集まってきました。

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お知り合いの方も多く、話に花が咲きます。

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左が第1回密着レポートでご紹介した四国自然史科学研究センターの
谷地森秀二さん、真ん中の若人はコウモリ調査に参加してた学生の高田君ですね〜。
ちなみに、後ろ姿のオレンジは第3回で密着した水生生物研究家の石川妙子さん。
環境マイスターとしてのご参加です。どんな話が聞けるかワクワク。

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こどもエコクラブ作成の熱のこもった壁新聞に見入る面々。
今回第二部は「こどもエコクラブ交流会」として、壁新聞の発表や 
エコライフゲームを体験していただきます。

旧知の仲が勢ぞろいし盛り上がりつつも、
13時30分から開演開演〜。

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えこらぼから、今日のプログラムを発表させていただきました。

第一部は「環境活動報告会」と題して、高知県内で活動を行っている各団体・
個人の方から、ご自身の取り組み、課題などについてご紹介いただきます。

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第一部のファシリテーターは、四国環境パートナーシップオフィスの内田洋子さん。
「所属している四国環境パートナーシップオフィス(四国EPO)は、
四国内での環境活動団体・個人のパートナーシップ作りを目的に活動を行っています。
一度話を聞いただけでは、十分に伝わらないかもしれませんが、これからお話いただく
みなさん、とても大切な環境活動に取り組まれています。ぜひ今日はヒントをもらって
帰ってください」。

えこらぼ密着レポートでもおなじみの5人の環境活動マイスターの
皆さんにお話いただきました。

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四国自然史科学研究センター・谷地森秀二さん
「マイスター1号の谷地森です。今日は、四国にいろいろな生き物が
間違いなく生息していたことを証明するために続けている標本作りのことについて
お話させていただきます。四国にはたくさんの動物が生息していて、
数々の標本が残されています。ニホンオオカミ、ツキノワグマ、ニホンカワウソ…。
他県は、それらが県立の博物館など適切な環境で保管されていますが、
高知県には県立の博物館がなく、個人宅など、非常に危うい環境で保管されています。
これはなんとかしていかないといけないと考えています。
私たちは、主に交通事故などで死亡した動物の遺体を回収し、
標本作りを行っています。シカ、イノシシ、カモシカ、サルなどもあります。
博物館がないので、越知町の廃校をお借りして所蔵させてもらっています。
道具も高知大学のある部屋をお借りして置いていたり、いろいろな事が不十分な
状況ですが、後々必要な資料ですので、頑張って続けていきたいと考えています。
参加者募集中です」。
くわしい谷地森秀二さんの情報はこちらから


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五台山エコクラブサポーター・奴田原藻子さん
「自分が面倒を見れる人数が10人なので、10人の子どもたちとエコクラブ活動を
続けています。私は小さな子どもたちにとって「体験」が一番大切なことだと考えて、
自分の畑を使って作物を育て、収穫して食べるという活動を中心に月1回開催しています。
集まってきている子どもたちはお休みの日にお父さんお母さんが仕事に行って、
ひとりでご飯を食べないといけない環境の子どもたちが多いです。
料理においても、ガスや電気は使わずに、炭をおこし、庭の木を切って
薪を燃やして飯盒炊爨をするなど、何もないところからご飯を作る体験を
通して、たくましさや創意工夫を学んでもらいたいと思っています」。
くわしい奴田原藻子さんの情報はこちらから

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高知県地球温暖化防止活動推進員・坂本耕一さん
「高知県地球温暖化防止活動推進員とは、県民の皆さんに地球温暖化の現状や
対策に関する正しい知識を広めとともに、対策のための普及活動を行ボランティアです。
現在45名の推進員が活動しています。
主な活動例としては、学校・企業・地域の学習会などでの啓発活動です。28年度は
このあと、皆さんにも体験してもらう「エコライフゲーム」を県内の小学校・
児童クラブなどで体験してもらい好評でした。
出前事業も積極的に行っていて、昨年は新聞バック作りやそれを子どもたちに
近くのスーパーで配布してもらい、お客さんにエコと温暖化防止について
話を聞いてもらいました。こちらも子どもたちにも地域の方にも
大変ご好評をいただきました。その他、えこらぼさんと一緒にイベントに出て
クイズ形式で温暖化防止をアピールを行うなど、さまざまな活動に取り組んでいます」。

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仁淀川お宝探偵団 ガサガサ部長・石川妙子さん
「怪しい肩書きが付いていますが、仁淀川お宝探偵団では、仁淀川流域の住民や
仁淀川を愛する人たちへの情報発信や、環境保護に向けた啓発活動を行っています。
ガサガサというのは、水生昆虫を探す学習会で網を持って川に入り、虫をガサガサ
探すことから付いた名前です。この生き物がいたら、この川は汚れているねとか、
きれいだねとか、川の環境に関していろいろな事がわかります。
親子での参加を呼びかけているのは、今のお父さんお母さん世代は、川で遊んだ
経験が少ないからです。親子で川遊びを体験して、川に親しむ人を育てることが、
環境保全にもつながるからだと考えています。街中の川にもたくさんの生き物がいます。
地元の川を知って、好きになり自慢に思ってもらうことが地域で暮らしていくためにも、
とても大切なことだと思います。
仁淀川お宝探偵団では年に1回、水切りの国際大会も開催しています。
県外からもたくさんの方が訪れる大きなイベントになっています。
その他、川を遡上したり、カヌーを漕いだりして仁淀川と親しむ
さまざまなイベントを企画しています。
くわしい石川妙子さんの情報はこちらから

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高知県林業振興・環境部 高橋隆さん
「今日はえこらぼの紹介と、環境活動に対しての県のサポートについて
ご紹介させていただきます。高知県環境活動支援センターえこらぼは、
県民の皆様のさまざまな環境活動を支援するためにある組織です。
各環境団体・個人がどんな活動を行っているかの情報提供や、
一般の方が環境活動に取り組む際に今日のマイスターの皆さんをはじめ
専門家、講師の方をご紹介するような活動を行っています。
認知度が高まっている取り組みとしては「環境絵日記」の活動があります。
夏休みに、お子さんに身近な環境問題をテーマに絵日記を書いてもらうという企画で、
県内でもたくさんの小学生の皆さんにご参加いただいております。
お子さんの目で見て感じた環境問題というのは、とても説得力があり
とてもすぐれた提案に繋がる作品も多々見受けられます。現在も広まっていますが、
これからもどんどん拡大していきたいと考えています。
あと、お手元に高知県環境基本計画第四次計画の冊子をお配りしています。
えこらぼのことをはじめ、こどもエコクラブの取り組み、その他、地球温暖化問題
ゴミ問題など、さまざまな環境問題、活動を取り上げていますので、
ぜひお時間のあるときにご一読いただけると幸いです」。

5人のマイスターの皆さんからの報告の後、
ファシリテーターの内田さんが、それぞれの話を引き出していきます。

−標本の活用は?
谷地森「標本は移動博物館の活動などに役立てています。これを元に
県内に自然史博物館を作っていきたいです」。

−活動していて嬉しいことは?
奴田原「エコクラブの活動を子どもが卒業文集に寄せてくれました。
とても深いことを考えてくれていて、続けてよかったなと思う瞬間です」。

−活動継続の秘訣は?
板野「継続の秘訣は、グループ活動と思います。皆で話し合うことで
それぞれのレベルアップにもつながります」。

−高知の河川・流域は変わりましたか?
石川「清流を好む生物が下流域にまで生息し、川はきれいになっています。
それでも、鮎の減少やまだまだ未解決な部分も多いです。川好きな
子どもたちを育てて、環境を考える人材を増やして行きたいです」。

−高知県として、環境活動に期待することは?
高橋「特に環境絵日記やこどもエコクラブの活動に期待しています。
子どもが問題提起をすると大人も真剣に考えてくれると感じています」。

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内田さんのエスコートで、興味深い話がぞくぞくと引き出されました。

内田
「皆さんありがとうございます。皆さんの活動を見ていると
大人としてハマりながら、子どもたちを巻き込んでいっていることが
よくわかりました。こういう大人の本気の取り組みが子どもたちには
よく伝わります。私たちもますます魅力的な大人になっていきたいなと
感じました」。

ここで第一部は終了。
第二部は、期待のこどもエコクラブ各団体の発表タイムです。

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まずは、五台山こどもエコクラブのみんな
「五台山こどもエコクラブでは、いろいろな野菜を育てたり、料理を作ったりしています。
自分で育てた野菜で作る料理はとてもおいしいです」。

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続いて香美市こどもエコクラブの「ハッピーコロリン」さん
「地球温暖化防止の方法をいくつか考え、活動しました。
森に木を植えてCO2の吸収を増やす取り組みを3箇所で行いました。
また、緑のカーテンの効果についてアンケートをとったところ、内側と外側で
7.5℃も温度が違うことがわかりました。その他、室戸の海岸でゴミ拾い活動も
行いました。これからも続けていきたいと思います」。

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香美市こどもエコクラブ「みどりクラブ」さん
「壁新聞は皆でアイデアを出し合って、『森、海、川を守る』をテーマに書きました。
香美市の山では鹿が増えすぎて、葉っぱや木の皮を食べるので、
山の力が弱くなっています。対策について猟師のおじいちゃんに
罠の話を聞いたりしました。自分たちでやってみたこと、調べたことを
『自然の力発見ノート』として手作りの本にまとめました。ぜひ見てみてください。
これからも地球の大切な緑や自然を守るために、仲間を増やして
活動を続けていきたいと思います」。

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同じく香美市エコクラブ「みどリサイクル」さん
「今年は室戸にエコキャンプに行って、海洋深層水やジオパークの勉強をしました。
見学中に近所の人がタンクを持って深層水を買いに来ていました。
コーヒーや味噌汁にするとおいしいそうです。ビーチコーミングでは、
海岸に木や竹が多く打ち上げられていて、山と川と海が
つながっていることがわかりました。
中国やベトナム、インドネシアのペットボトルも多く打ち上がっていました。
その他、家にある不要なもので案山子作りに取り組んだりしました。不要なCDを
使って目を作っているので、太陽にピカピカ光って、鳥が逃げていく仕組みです」。

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最後にちょっとモジモジしちゃった香美市「なかよしエコクラブ」さん。
舟入川の歴史などを調べ学習したこと、ものづくりフェスタで紙漉きを
やったこと、うちわづくりではスイカと花火とアイスの絵をあしらって完成。
お父さんに仰いであげたら「涼しい」と喜ばれたことなど、
四季を通した活動を壁新聞に表してくれました。

みんなみんな、たくさんの活動をいっぱい描いて紹介してくれて
ありがとう〜。マイスターの皆さんからエコメダルの贈呈です。

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「これからも頑張ってください。たまには標本作りに来てくださいね」。
by谷地森マイスター。

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でっかくてかわいいエコメダルです。
みなさん力作のご紹介ありがとうございました。

さて、ここからはお楽しみエコライフゲームの体験コーナーです。
エコライフゲームは、環境と経済の関係をテーマに発案されたボードゲームで、
企業や個人の日常の環境配慮行動について学んでもらえるすごろく。

人生ゲームをモチーフにしているので簡単に覚えられ、
お子さんから大人まで一緒に楽しめる内容になっています。

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まずは、温暖化防止活動推進員の坂本さんから、遊び方のレクチャー。

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じゃん、こちらがエコライフゲーム。

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歯磨きで水を使いっぱなしにしたり、テレビゲームを長く続けるなど
環境に負荷がかかることをやったら、エコポイントとお金の支出が発生します。

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交通手段も、電気自動車など環境にやさしい手段を選ぶと
エコポイントが増えたり、お金が増えたりします。

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それでは、スタート! 谷地森マイスター、さっそく電気自動車を購入!

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大人から子どもまで、賑やかにゲームを楽しみました。

エコライフゲーム体験の後は、参加者交流会を開催。
班分けを行い、今日のイベントで感じたこと、自分で何が取り組めるかなどについて、
グループディスカッションと発表を行っていただきました。

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奴田原マイスターのグループ。日頃のこどもエコクラブについて
いろいろな話が聞けた模様です。

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石川マイスター、高橋マイスター、内田ファシリテーターのグループ
発表に向けて着々と準備が進みます。

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谷地森マイスター、坂本マイスターのグループは、
マイペースに骨格標本の話題で盛り上がります。

短い時間でしたが、活発に議論が進みました。
それでは発表タイム。

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谷地森・坂本マイスターグループ
「私たちのグループでは、こういうエコイベントにはじめて参加された
方が何人かおられて、活発ないい議論が重ねられたと思います。
今日のようなイベントの情報をもっと発信する機会があるといいねとか、
環境は子孫から借りているものなので、大切にしていかなければいけない、
といった話や、日々の生活でゴミの問題、住民が減っているのに
ゴミが増えているなぜだろう、といった疑問などが
意見として上がりました」。

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奴田原マイスターグループ
「こちらのグループでは、子どもたちにさまざまなエコ活動を体験してもらいたい、
という話がでました。生ゴミを0に減らすにはどうしたらいいか、
自分たちの体を作る食べ物についても、もっと知ってもらいたい
という話も上がりました。子どもたちが自分たちで考え言葉にしてもらう
そういう体験を重ねて、エコな暮らし方や、環境問題に関しての
実践的な活動に繋げていってほしいなと思いました」。

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石川・高橋マイスター&内田ファシリテーターグループ
「キーワードとして、楽しさを感じることが、環境活動の一番最初の基盤になるという
話がでました。体験した楽しさを、人に伝えることで活動が広がっていくのでは
ないかと思います。その積み重ねで、結果として自分から行動できる人が増えていくと
環境活動も充実していくと思いました」。

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ディスカッションで上がった意見を記した星型のシールを、行動宣言として
ボードに貼っていきます。環境活動が増えると夜空に見える星が増えるというコンセプト。

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「子どもたちに豊かな体験を」。夢がありますね〜。

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「博物館がなくてこまっている」。谷地森マイスター現実的ですね〜。

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たくさんの希望の星がまたたき始めました。

          ●

いかがでしたか? えこらぼ主催イベント「環境活動って何ですか? 
マイスターに訊く、豊かな未来なために必要なこと」の一日。
各環境マイスターの活動報告からこどもエコクラブの活動報告、
エコライフゲーム体験、グループディスカッションと
急ぎ足で、盛り沢山な内容で時間が足りなかったかもしれませんが、
たくさんの意見が上がって、大いに考えてもらって、
実りあるディスカッションもあって、とても有意義な会になったのでは
ないかと思います。

示唆にとんだご意見もたくさん上がりました。
環境活動は、大人だけが行うものでも子どもだけが行うものでもありません。
この地球で生きていくみんなが取り組んで行かなければいけない問題です。
地球温暖化など、なかには非常にグローバルで利害が複雑の絡み合った
問題も山積していますが、まずは一人ひとりがあきらめずに
足元を見つめ直すことから始めていくことが、重要なのではないかと思います。
そして継続するために必要なキーワードは「楽しんで」行うこと。
これは、各マイスター皆さんがおっしゃってましたね。

さあ始めましょう環境活動。皆さんは何からスタートしますか?
えこらぼでは、マイスターをはじめ高知の環境活動団体・講師の方と一緒に
これからも、みなさんの環境活動を応援し続けてまいります。
疑問が湧いたら迷わずご相談くださいね。
一緒に楽しく取り組んで行きましょう〜。

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子どもたちの力作を眺めながら、また会う日までさようなら〜。