仁淀川お宝探偵団・第13回仁淀川国際水切り大会

高知県外の方には「最後の清流・四万十川」の方がメジャーかもしれませんが、
その水の美しさで言えば、県内ではやはり「仁淀ブルー・仁淀川」。
仁淀川は平成24〜27年(最新)まで連続で水質日本一に輝く、
名実ともに日本一の清流です。そして、その日本一の清流・仁淀川を
愛してやまない面々が企画して、今や全国区(全世界?)で有名になったイベントが
「仁淀川国際水切り大会」。

第2回目のえこらぼ環境団体・講師紹介レポートはこの大会を企画運営する
仁淀川お宝探偵団の活動を、8月21日に開催された主催イベント
「第13回仁淀川国際水切り大会」に密着してレポートさせていただきます!

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仁淀川で開催される第13回大会のオフィシャルチラシ。

仁淀川・波川公園で毎年行われている本大会のことは、
高知県内の各メディアの報道でご存知の方も多いかと思われますが、
その他にもユニークな活動を行われている仁淀川お宝探偵団さん。
仁淀川流域の多種多様な資源を「お宝」と位置づけ、その価値を再発見・
再認識しながら情報発信を行い、自然環境や社会環境を改善することを
目的として活動されています。
くわしい仁淀川お宝探偵団さんの情報はこちら


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「川ガキ養成講座ガサガサ探偵団」の様子。
川の中にガザガザ分け行って水生昆虫などを捕まえ、その種類などを調査。
あわせて簡単な水質調査も行い、水辺環境の大切さを体で体験してもらうため
企画しています。

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「天界集落ツアー」秋葉祭り見学の様子。
仁淀川流域のある「限界集落」を、ポジティブに「天界集落」と言い換え、
地域に伝わる文化伝統、生活の知恵を学びます。一般の旅行では味わえない
地域密着型の体験ツアーで、リピーターの方も数多くいらっしゃるようです。

仁淀川お宝探偵団さんの会の創立は2003年。
もともと、県からの委託事業で仁淀川のお宝地図をつくろう、という企画があり、
その時集まった仁淀川好きなメンバーから活動がスタート。
現在のスタッフは18名で、みなさん、それぞれ別にお仕事をされながら、
定期・不定期で集まり、上記イベントや水切り大会の運営を行われています。

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代表の生野宣宏さん
「今日は天気にも恵まれていい大会になりそうですね
もともとこの大会は、お宝地図の制作で仁淀川の河原をあちこちまわっていた時、
誰彼問わず、かならず水切りを始めたことがきっかけです。
ルールも単純だし誰でもできる。おまけに仁淀川は水切りにいい石の宝庫。
仁淀川の良さを伝えるには、なんといっても来て川遊びを体験してもらうのが一番!
ということで、トントン拍子に開催が決まっていきました。
おかげさまで参加人数も右肩上がり、今年は約250名の参加を見込んでいます」。

仁淀川お宝探偵団さん、着目がユニークだしセンスがありますよね。
それでは、さっそく目玉イベント「第13回仁淀川国際水切り大会」、
当日の模様をレポートしていきましょう。

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会場は仁淀川橋のたもと波川公園。

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午前8時、スタッフ受付が始まっていました。この日は40名ほどの
ボランティアスタッフにお手伝いいただきます。

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「ここらへんが投げやすいよね」。仁淀川を極めたスッタッフが、
会場をゆる〜く作っていきます。

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8時30分からは受付もスタート。手前の方はすでに石を拾ってますね〜。

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長野からいらした5人組。「卒業した高校の友達グループです。
飯田市の川でコツコツ練習を積んで来ました。目標は予選突破!」

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千葉から来た難波くん兄弟。
「生まれ育った岡山の川で鍛えてきました。目標は…、まだ他の人のレベルが
わからないので、観察してみたいです。10回超を目指します」。

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水切り練習を始める人たちも出てきました。

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追手前高校・吾北分校、石川先生と参加する1年生の2人
「石川先生に夏の思い出作っとけ、と勧められて参加しました。
自信は全然ないけど、とりあえず頑張ります。
外から来た人には、きれいな仁淀川を見ていってもらいたいです」。

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高知工科大、有機合成科学研究室・西脇教授のゼミで学ぶ学生さんたち
「初参加です。今年はこの仲間たちと、県内で開かれる「投げる系」のイベントに
かたっぱしから参加しています。ネギ投げとかニラ投げとか。彼女はネギ投げで
女性部門のチャンピオンなんですよ! 目標はまず予選突破。
10位内くらいに入りたいですね。仁淀川は水がきれいだし、
波もなくいい風景が広がりますね。水切りにいい石もたくさんありそうです!」

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審判団のチェックが始まりました。

ここで、本国際水切り大会のルールを説明しておきます。
競技は「男性の部」「女性の部」「子どもの部」そして、過去のチャンピオンや
水切り自慢が競う「チャンピオンシップ」の4部門での戦い。

まず、予選。こちらは水切り回数のみを競います。「特別な訓練」を積んだ3名の審判が
各選手の水切り回数をカウント。最後はぐじゃぐじゃに跳ねたりしますので、
まあ誤差はありますが、審判3人の合計数の多さで本選出場者が選ばれていきます。
投げる回数は3回なので、その中でも一番多い回数で競います。

そして、本選はトーナメント方式。予選を潜り抜けた参加者が、1対1で激突します。
こちらも投げる回数は3回ですが、得点は「投げる姿の美しさ」「飛距離」
「水切り回数」の総合点で競います。3人の審判がどちらが優っていたか旗を上げ、
勝敗が決していきます。ここで各部門のベスト8が決まります。

さらに、決勝トーナメント。こちらもトーナメント方式で、得点は本選と同じ総合点で
決まりますが、審判が5人に増え、よりシビアに見極められます。
このあたりの戦いになると、「固唾を呑む」という表現がぴったりの
白熱した戦いが繰りひろげられていきます。

そろそろ予選が始まりそうな時間ですが、
次々と選手の皆さんが会場に到着していますので、インタビュー続行。

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オーストラリア生まれのターナーさんご一家。
「高知に住んで16年になります。今日の目標は楽しむこと。
ハウメニーでいえば、10回は超えたいですね。
仁淀川には今年は初めてですが、変わらず美しいいい川ですね」。

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東京造形大学のOB、OGで結成された多摩川水切りクラブの皆さん。
「昔から水切りが好きで、暇なときはよくやってたんですよ。
オリンピックも開催中ですし、僕らも世界チャンピオンを目指そうと思って
やってきました。日本の金メダルを増やしますよ! 
仁淀川ですか、噂には聞いていましたが水がきれいだし、
景色もきれいですね。ワクワクしてきました!」

さて、時刻は9時ちょっと。いよいよ予選大会の開始です!

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「予選開始しま〜す」。

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まずは子どもの部、お兄ちゃんいいフォームだ。

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小さい女の子、片膝落としのフォームで確実に水切り回数を稼ぎます。強者!

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東京造形大OB・蛯名さん、多摩川で鍛えた腕前で初投石!
いい感じで跳ねてます。

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予想以上のいい投石だったのか、NHK高知からも取材が入ります。

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女性の部も張り切ってスタート。
さっきの吾北分校の高校生。あかんで、そんな腰の高さじゃ。先生教たらんと!

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愛媛からご参加の森下さん、いいフォームです。

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すてきなフォームでご投石は、仁淀川お宝探偵団のメンバーで、
選手としてもご出場の岡林立哉さん。

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シュタタタターっと、水面を跳ねていきます。グッジョブ!

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仁淀川お宝探偵団・岡林立哉さん
「いい水切りができました。この大会は、当日よりも準備が大変で、
半年前から月1回、7月からは毎週メンバーが集まって喧々諤々やってます。
まあ、なかなか大変なんですが、こうやって全国から人が集まってくれて、
みんなが本当に楽しそうに競技している姿を見ると、今年も無事開催できて
よかったなって思います。半分位はリピーターの方で、競技だけでなく
仁淀川のあちこちに遊びに行ってくれているようで、
確実に仁淀川のファンが増えていっていると感じています」。

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さすが国際大会、ベトナムの方でしょうか?

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愛媛からいらした鈴木さんご一家。
「最初は何気ない気持ちで参加したんですが、働いているデイサービスの
おばあちゃんたちが応援してくれているので、期待に応えるために頑張ります。
実力ですか? 5回に1回くらいはうまくいきます。大会を通じて仁淀川の
心地よさを体感中です!」

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鈴木さんの第一投。水面と水平なナイス投石フォーム! 結果は…
だめだったようです。仁淀川を存分に楽しんで行ってくださいね〜。

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お昼も近づきぽっかり晴れ渡る仁淀川。仁淀川橋の方では、水遊びの人がたくさん。

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かき氷屋さんも大盛況。

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ん、なにやら人が集まってまいりました。

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同時開催の「ハート石コンテスト」「いしぶみ(石文)コンテスト」の展示です。

「ハート石コンテスト」は、文字通りハート型の石を見つけるコンテスト、
「いしぶみ(石文)コンテスト」は、見つけた石にすてきな名前・言葉をつけて
ユニークさを競うコンテスト。みんな下を向いてぐるぐる河原を散策してました。

その他にも、お子さん限定で「宝探し大会」が行われていたようなのですが、
すみません、あまりに盛りだくさんでえこらぼスタッフ追尾できてません…。

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仁淀川のお宝「ハート石」。デカッ!

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こちらは「石文」。精米度60%受けました。ツウの方のご参戦とお見受けします。

さてさて、各自、適宜店などで昼飯をすませつつ、いよいよ本選の開始! 
この日の本選には、「子ども部門」「女性部門」「チャンピオンシップ」から
それぞれ32名ずつ、「男性部門」はちょっと多くて49名が勝ち残り。
ベスト8を決める決勝トーナメントに向けて、魂の一石を仁淀川に投げ入れます。

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高知市からおいでの近澤さん、低い! 水面すれすれのサブマリン投法!
元・阪急ブレーブスの山田投手、見てますか?

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サウスポーで投げ入れるは、香川からおこしの請川さん。
「わ〜たしピンクのサウスポー〜(古い!)」

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香南市の町田さんはチャンピオンシップの投げ込み。行った〜!

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女性部門の戦い、香川からおこしの高丸さん、クールな投げ込み!

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対するは、大阪からおこしの乾さん、力投!

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この勝負は僅差で高丸さん!

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かっぱも審査員。

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子どもの部、最初の方で紹介した強者ちびっ子も、己のスタイルを貫いて
勝ち上って来ています!

さてここで、なにやら会場にざわめきが…。
なんと本選の途中で、一昨年のチャンピオンと、昨年のチャンピオンが激突!
実質的な決勝戦とも言える好カードが実現しました!

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昨年優勝の大阪府・岡坂選手。独特のモーションから

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腕をしならせて投入! 写真が追いついてませんが、
ものすごく小刻みにはねていきました。

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一方、一昨年チャンピオンの埼玉・橋本さんは、しばらく川を見つめ沈思黙考。

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コンパクトな体躯ながら、するどくしなる右腕!
これまたものすごい数はねていきました。

この勝負は、3投目にものすごい水切りを決めた一昨年の覇者・橋本さんの勝ち!
さすがのチャンピオンシップ、すごい戦いを見せていただきました。

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橋本桂佑さん
「今年で3回目の出場で、一昨年に優勝しました。北海道と宮城でも
水切りの大会があるのですが、そちらでも勝たせてもらっています。
いい水切りのためには、まずは石の選定でしょうか、あとは集中力、
回転、角度などが重要かと思います。今年も優勝狙います!」

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勝負が終わったら、固く握手。朝インタビューした造形大OBの大石さん(右)、
見事チャンピオンシップで決勝トーナメントに進出です。

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「いや〜楽しいです。多摩川で投げ込んできた甲斐があります。
これは、拾った形のいい石たち。決勝もがんばりま〜す」。

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難波兄弟も男性の部で勝ち残っていました。
「2人とも残れてうれしいです。あとは頑張るだけ!」

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決勝トーナメントを前に審査員のかっぱくんと盛り上がる人たち。
「県内の仲間で参加しました。もう4回位参加してます。一人決勝に残ったので、
みんなで盛り上がってます!」

さて、朝9時〜始まった大会も4時間以上が過ぎ、
いよいよ決勝トーナメントが始まります。

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まずは子どもの部。「はい、みんな頑張ってね〜」。

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高知の川ガキ・坂本くん、ナイスサブマリン!

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香川の川ガキ・横山くんも渾身の一投!

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女の子対決は、独自のコツコツ投法で順調に勝ち上がってきたお嬢ちゃんと

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先程紹介したスタッフ岡林さんの娘さん! 強豪対決!

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白熱した戦いの結果、勝敗が決していきます。

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審査員は5人、大勢のカメラマンにも見つめられ緊張感の中真剣勝負が続きます。

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男性の部、高知市の田村さん、軽快に水を切っていきます。

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長野からおこしの唐澤さんも、ダイナミックな一投!

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女性の部、高知市の泉さん決まってるぅ〜。

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佐川町から中村さん、はちきんパワー全開!

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チャンピオンシップでは、造形大OB大石さんが力投中!

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佐川町の岡林さん、なにか違うスポーツをやっているかのような決まり方。

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白熱の戦いを演じた造形大OB蛯名さん(右)と香南市・町田さん、
お互いの健闘をたたえ合います。

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「サウスポーの底力を見せてやる!」愛媛県・正岡さん。激闘!

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対するは、埼玉の難波兄弟・弟! 伸びやかなフォームで力投。

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女子決勝、大阪からおこしの峯松さん。白石の行方はどこへ。

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高知市の原さん、祈りを込めて見つめる石の軌跡。

各選手力投を続け、力のある選手が勝ち残ってまいりました。
いよいよ大会のクライマックス水切り王者決定戦、
チャンピオンシップの決勝です。

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チャンピオンシップに勝ち残ったのは、一昨年の勝者・橋本さん
川を見つめ、状況を分析するいつもの沈思黙考スタイルから

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投石! しなる右腕!

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チャレンジャーは兵庫からご参加の福島さん。
ダイナミックな投げ込み!

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勝者は青! 埼玉の橋本さん、水切り王者に返り咲きです!

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健闘ををたたえ合うお二人。
福島さん(左)「今年は負けましたが、来年はリベンジしたいと思います!」
橋本さん「なんといっても国際大会なので、世界一。うれしいですね。
勝因ですか? 今年は運が強いですね。水切りの神様が味方してくれました。
川は午後から波が立ったので、重い石で、波と風に逆らわないようになげました。
波の間を縫うようなイメージですね。
仁淀川は何度来てもいいところです。ここは川幅も広く、水切りにいい石が
たくさんあります。さすがに水も綺麗ですし、波紋が美しく広がるんですよ。
特に、波の少ない午前と夕方は絶好の水切りポイントになりますね。
ホントは水遊びもしていきたいんですけど、明日仕事なんで…。
仁淀川が埼玉にあったら最高なんですけどね」。

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初参加ながらチャンピオンシップ決勝に2人が勝ち残るなど大健闘の
東京造形大OB・OGチーム。
「やり切りました。それにしても、仁淀川がこんなにきれいだなんて思ってなくて、
もっと小さい川をイメージしてました。いつも練習している多摩川は汚れていて
とても水に入ろうとは思えないんですが、ここは浅瀬が広がって遊び場にもいいですし、
足まで入れて水切りができるのがいいですね。来年も来たいと思います」。

炎天下の中、白熱した勝負が続いた大会も終わり表彰式が始まりました。

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子どもの部、勝者を称えるメッセージを読み上げる実行委員長の生野さん。

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参加人数の少ない女性の部、それでもやはり上手な選手が勝ち残りました。

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男性の部、初参加の難波兄弟・弟くん(右)見事3位入賞です。

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特別賞の皆さん。いの町観光協会賞、仁淀ロータリークラブ賞、かわいかったで賞、
本気出したで賞、それぞれの授与です。

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チャンピオンシップ、世界王者の皆さん。チャンピオンの橋本さんには、
高知〜東京(または大阪)の往復ペア航空券も贈呈されました。

みなさんお疲れ様でした!

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仁淀川お宝探偵団代表・生野宜宏さん
「過去最高の参加人数で、天気も恵まれいい大会が行えたと思います。
大の大人が誰でも参加できて、ここまで真剣になれるイベントもそうないですよね。
今の人生、なかなか本気になることが少ない。それがここでは本気になれる・
童心にかえれる、そこが大事だと思っています。
大会中は選手の皆さん、仁淀川の景色も忘れて没頭していると思いますが、
夢中になってても仁淀川のこの美しい風景が、楽しかった思い出とともに
ずーっと心の中に残っていって欲しいと思います。
将来の目標ですか? キャパとしてはこれぐらいが限界だと思います。
規模ではなく、質を高めていきたいですね。
例えば、全国の川でいろいろな水切り大会をやって、ここ仁淀川では
そのチャンピオンが集まって決戦を行うとか。日本一の川だから、その資質は十分。
自分の住んでいる地域がみんなに注目されるいい場所だとわかると
地域から人が出ていくのを止めることにもつながりますし、移住者も呼び込めます。
地域の人たちにも仁淀川に誇りを持ってもらえるような活動を、
どんどん広げていきたいと思っています」。

いかがでしたでしょうか仁淀川お宝探偵団「第13回仁淀川国際水切り大会」の取り組み。
自分の地域の足元にある魅力的な資源を探し、見つけ、見せ方をひとひねりすることで
これだけ多くの方に参加いただけるイベントに育ってきています。
仁淀川のお宝を探し、発信する旅は、毎年たくさんの仁淀川ファンを増やしながら
もっともっと広がっていくことでしょう。

皆さんも、地元の自然環境に目を向け、地域のお宝を探してみませんか?
見つけたそのお宝を、自信を持って発信していきませんか?
そんな活動のつながりが、ひょっとすると、豊かな自然環境を守る
とても有効な方法に育っていくのではないかと思います。

運営にあたった仁淀川お宝探偵団の皆さま、出場選手の皆さま、同伴された
ご家族、ご友人、ひやかしの皆さま、あっつい中、お疲れ様でした。
みんなで、この水清く美しい仁淀川を未来に残していきましょう!

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また来年、仁淀川でお会いしましょう〜。お疲れ様でした〜。