のぞいてみよう!! 木質バイオマスエネルギーのひみつ


今回のえこらぼ密着レポートは、昨年11月〜12月に開催された
えこらぼ主催イベント「のぞいてみよう!! 木質バイオマスエネルギーのひみつ」
をご紹介。11月23日に開催された第1回目の模様を、
じっくりと振り返ってみたいと思います。

そもそもこのツアーは、地球温暖化の進行が懸念され、再生可能エネルギーへの
注目が集まる中、一般の方々が、「エネルギー」について触れ・考える機会を
設けようと企画されました。
森林資源の豊かな高知で、木質バイオマスを活用した先進事例を学ぶため、
宿毛市で木をエネルギー源とした発電と木質ペレット製造を行う
株式会社グリーン・エネルギー研究所と、そのペレットを燃料に園芸ハウスの
加温を行っている土佐市のユリ農家さんを訪問します。

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集合は朝7:45分高知駅、バスで宿毛市に向かい土佐市を経由して帰ってきます。

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バスガイドを務めるは、えこらぼ山中。もろもろアナウンス中。

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さっそく資料に目を通す熱心な参加者の皆様、車酔い注意です。

バスの定員もあって抽選となってしまいましたが、本日の参加者は
大人13名と、子ども11名。お子さんが多くほのぼのとしたムードで
宿毛に向かいます。

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バスの中では、用意した環境省制作のDVD「気候変動への挑戦」を視聴、
温暖化問題の最新の情報を学びます。

国際機関・気候変動に関する政府間パネル(ICPP)の報告では、
このまま対策をとらなければ今後100年で地球の平均気温が4度上昇してしまうこと、
それにより海岸浸食、洪水、農作物への影響、健康被害など様々なリスクが
予見されているとのこと。地球温暖化がまったなし状況にあることが
よくわかりました。

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つづいて、えこらぼオリジナル編集ビデオの視聴。
本山町の川井木材さんを取材し、実際の木の切り出しの現場を取材、
林業の現状を解説した内容です。
川井木材代表・川井博貴さんのコメントを
ピックアップしてご紹介します。

●川井さん
「かつて林業は日本でもトップ産業でしたが、現在では1次産業の中でも
国に助けてもらわないと維持できない状況です。
でも、ヨーロッパでは現在も国を牽引する産業と言われています。
将来何になりたいかを子どもに聞くと、消防士か林業士と答えが帰ってくるくらいです。
職人的な技術力も必要とされ、環境問題の最前線で活動しているわけですから
やりがいもあり、魅力的な仕事なんです。
将来、林業を日本をひっぱっていける産業にしていきたいです」。

宿毛までの同中は途中休憩を挟み3時間かかりましたが、
皆さん、飽きることもなく環境問題と林業の現状について
理解を深められたのではないでしょうか。

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グリーン・エネルギー研究所に到着。たくさんのヘルメットがお出迎え。

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まずは全員集合して、発電所全体の説明や見学時の注意事項などを聞きます。

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グリーン・エネルギー研究所取締役・永野正朗さんから全体レクチャー。
左が発電部門をご案内いただく発電所・所長の平尾強一さん。

グリーン・エネルギー研究所が、ここ宿毛で事業を本格稼働させたのは2015年のこと。
事業内容は大きく2つに別れ、ひとつが木質バイオマス発電事業、
もうひとつが木質ペレットの製造事業となります。

木質バイオマス発電では、間伐材や林地残材、製材端材、樹皮など、
これまで利用されなかった材をエネルギー源として活用。発電燃料として
未利用資源を活用することで、森林環境の保全を促し、山間地域での
雇用拡大の促進まで視野に入れ、事業を展開しています。

木の燃焼時に発生する二酸化炭素(CO2)は、成長時に吸引したものであることから
カーボンニュートラル(炭素中立)と言われ、石油などの化石燃料と違って
余分なCO2が発生しない面から、温暖化防止への効果が期待されています。

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大きな音がする工場内でも説明が聞こえるようレシーバーとイヤホンを装着。

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ヘルメットをしっかり被って、まずは発電施設の見学にレッツゴー!

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まずは燃料につかう木質バイオマスについての説明。
檜と杉の木の葉っぱ、違いがわかるかな? 
燃やせばほとんど同じエネルギー量です。

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てくてく歩いていくと大きなボイラー棟が見えてきました。
ここで火を焚いて高圧の蒸気を作り、タービンを回し発電します。

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うず高く積まれた木の枝や葉、奥には製材の端材のようなものも見えますね。
これらをオレンジ色のチップ製造マシンに入れて、燃やすための木のチップを作ります。

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ボイラー棟直下に到着。ワクワク。

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さきほどの写真で作られたチップなど、炉で燃やす原料をご紹介。

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左からチップ燃料、樹皮、バークペレット、3種を投入して燃やします。

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炉内で燃えている火を見学。

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ボイラー内部、業火です。

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タービンのある建屋に移動。

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タービンは1分間に9007回転させて発電しています。
「7」が気になりますが、音がすごくて質問出ず。

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発電所全体を管理している中央制御室を覗き見。

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ボイラー等を降りて、建屋全体のレクチャー。

平尾さんの話によると、工場で使用される木質バイオマスの約半分は、
一般の方からの持ち込みなのだそうです。
地域の農家さんや、個人山主の方などから、今まで持って行き場のなかった
剪定した木の枝や端材などが、ここでは有効活用されています。

最後に残る灰は、セメントなどの原料に変えられる他、
今後は農作物の肥料としての活用も検討されているなど、
集められた木質バイオマスが、ほとんど余すところなく利用され
ていることも分かりました。

ちなみにこの発電所では、年間で宿毛市の一般世帯数1万世帯の約1.2倍の量
(約4500kWh/年)を売電しているとのこと。再生産可能なクリーンエネルギーで
市内全域がまかなえるって、ちょっとすごいですね。

平尾さんご説明ありがとうございました!

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つづいてペレット製造棟に移動。さりげなく積み上げられた木の存在感がすごい。

グリーン・エネルギー研究所のペレット製造も発電事業と同様に、
間伐材や林地残材、製材端材などこれまで使われていなかった
未利用資源を原料にしています。

ペレットは、カーボンニュートラルで余分なCO2を発生しない他、
小さな体積なのにエネルギー量が大きいので、輸送時に消費される
エネルギーの削減(CO2排出削減)にも繋がり、
エコ燃料としても注目が高まっています。

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ペレットにする原料について説明するペレット課・課長の竹本弘さん。

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室内のあちこちに樹皮やチップが山積みされています。

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発電に使用する樹皮のみで作るバークペレットの原料おが粉。

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こちらは販売用のホワイトペレットの原料おが粉。
皮を取り除いた木から作るのがホワイトペレット。
燃焼した後の灰が少なく、ユーザーさんからは人気があります。

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ペレット製造マシン、工場萌え〜。

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ペレット成形マシンのご紹介。

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むにゅむにゅ押し出されて成形。

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触り心地がいいからか、無心にいじるチルドレン。

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ペレットにするためには、原料のおが粉を水分率7%程度まで
乾燥させないといけません。ペレットに適切な乾燥度合いはどのくらいかな〜、
手触りで確かめます。

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実験! いろいろな木材を水に入れてみます。大きな木は水に浮くのに
ほんの小さな粒のペレットは沈みます! 子どもたちもビックリ。

これは、ペレットが製造時に500kg/cm3という強力な圧力(2cmの狭さに
軽自動車が乗ってるくらいの力だそうです)で押し固められているから、
比重が大きいのです。体積は小さくても、大きなエネルギーを
蓄えていることの証明ですね。

竹本さんの話では、農家さんがハウスの加温に使う際、万が一
南海トラフ大地震で燃料が流されても、石油は火災の原因になったり環境汚染の
原因になったりしますが、ペレットは木だけでできているので、
環境中に散乱しても自然に帰るだけとの事。

やっぱり、いざという時のことを考えてエネルギーを選ぶべきだと
一同深く感心させられました。

竹本さんご説明ありがとうございました!

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集合写真パシャリ! お土産に灰から作った肥料「フォレストアッシュ」
をいただきました。

さてさて、エネルギーを学ぶお楽しみバスツアーも前半が終了。
再度バスに乗り込み土佐市を目指します。
バスの中で参加者の方にお話を聞いてみました。

●高知市の松田さん
「宿毛の木質バイオマス発電所のことは、テレビで見て知っていました。
なかなか中に入れる機会がないので、今回は自分もですが、子どもたちにも
見せてあげたいなと思い小6と小1の子どもと3人で参加しました。
初めての経験でいろいろためになります。ペレットは化学物質が入ってなくて
いいですね。工場全体から捨てるものがほとんどないというのもいいと思います。
南海トラフ大地震が来てもペレットは自然に帰るというところも安心ですね」。

●香南市の小原さん
「今日は小2と小4の娘と3人で参加しています。小4の子が授業で水力発電の
勉強をしていたので、発電所の仕組みを教えてあげたくて参加しました。
福島のことがあるので、やはり自然に帰るエネルギーというのがいいと思いました。
えこらぼさんのことは、環境絵日記とかで知ってましたよ」。

●小原さんのお子さん
「ペレットが水に沈んだのがびっくりした」。
「発電所の中で火が燃えているのがすごかった」。

バスの中では、事前に渡したクイズの答え合わせを行いました。
発電所見学で答えは聞けたはず。どれくらい分かったかな?

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難しかったかな?

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お昼ご飯は道の駅なぶら土佐佐賀。

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昼食後のバス移動は眠くなりますよね〜。その辺を察知し(あるいは自分も眠いのか)
トーンを落としてアナウンスするえこらぼ山中。

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大体の方が一眠りして目覚めたら、そこは土佐市。

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ユリ農家さんが出迎えてくれました。

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ユリ農家の森田早百合さん(右)と、木質ペレットヒーターの説明をしてくれた
株式会社 相愛木質バイオマス事業課・課長の三木聡さん。

森田さんは年間12600本のユリを栽培しています。
これはお子様向けに説明するとゾウ3頭分、乗用車10代分の重さ(わかるかな?)。
木質ペレットヒーターを導入する前は、1年間で27000リットルの石油を炊いて
ハウスの加温を行っていました。年間に排出してきたCO2は
約73000kg-CO2という量になります。

木質ペレットヒーターの導入は5年前、乱高下する石油のコストを
なんとか抑えたいということが当初の目的でした。
現在、木質ペレットヒーターを使用することで削減したCO2は、
約70000 kg-CO2、25mプール換算で200コ分の量にあたります。
点火時に灯油を使う必要があるため、その部分は残りますが、
かなりの量の排出CO2を削減しています。

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ハウスの中はびっしりユリ!

●森田さん
「最近は重油価格が安いですが、全体的には導入したことで燃料コストが
抑えられています。重油臭い匂いも改善されました、花にとってもいいんではないかと
思っています。木を燃やすことで灰がでますので、その掃除だけが手間ですけど
デメリットはその程度で、導入してよかったと思っています。

●三木さん
「ここのところ確かに石油の価格は安いですが、なんといっても価格の上がり下がり
が激しく予測がつきません。経営計画を立てようにも経費予測が立てづらいんです。
木質ペレットは間伐材や端材を原料にしているので、価格が安定しています。
そういう面からもメリットが出せていると思います。

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機械の説明をする三木さん。温風を出して子どもたちを楽しませてくれました。

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木質ペレットヒーターのこと、ユリのこと、質問攻めにあう森田さん。

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「ユリの販売価格も、茎の硬さや背丈などで大きく変わってくるので、
燃料代を安定した価格で購入できることは、メリットが大きいです」。

見学したみなさんの中からは、せっかく環境にやさしい、いい取り組みを
しているのだから普通のユリと同じ値段ではもったいない。
低炭素栽培をアピールしたり、全国から見学者を受け入れたり
どんどんアピールしたらどうだろう、という提案も出されました。
みんなで、この取り組みを広めていきたいですね。

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森田さんのご好意で、ユリのプレゼント。
これが咲いてみたらとびきりゴージャスでした!

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「地球にやさしいユリが咲くのが楽しみです」。

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「機械からあったかい風が出て面白かった」。

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プレゼントのユリを片手に記念撮影。森田さんありがとうございました!

              ●

いかがでしたでしょうか?
えこらぼ主催イベント「のぞいてみよう!! 木質バイオマスエネルギーのひみつ」
の1日。木質バイオマスをエネルギーに利用することで生まれる効果について
いろいろと濃密に知ることができたのではないかと思います。

最後に、参加者の皆さんが残してくれたアンケートから
感想を一部抜粋してご紹介させていただきます。

●地球温暖化がまったなしの状況であり、私たちの生活を
 変えなければいけないという気持ちになりました。

●ペレット暖房機のCO2排出は、カーボンニュートラルによりほとんどないという
 事が驚きでした。いいユリを作るための土作りの努力が大変だと思いました。

●環境によいエネルギーができることはすごい事。無駄がない資源は魅力的です。

●実験でホワイトペレットとバークペレットでふやける早さがすごく違ったので
 びっくりしました。

●育てているユリがどこで売られているかを知らないというのが
 びっくりしました。おみやげでユリをもらえれ嬉しかったです。

●一般家庭用に木質ペレットがもっと普及するといいですね。

●木質バイオマスエネルギーの材料に何一つムダがないことに驚きました。

●以前よりペレットのストーブに注目していました。高知県の独自性をいかす事
 ができる分野だと思いますので、雇用を増やして頑張っていただきたいです。

●どの場所も初めて見ることができたので、とても勉強になりました。
 これからも木質バイオマスエネルギーをできるだけ使ってもらえるように、
 取り組む必要があると思います。

●とても勉強になりました。子どもたちも環境について考える
 いい機会になったのではないかと思います。

●沢山ある森林が建材だけでなく、いろいろな事に使われ、
 豊かな高知、日本になってほしいと思いました。

●実際ペレットを作っているところ、発電しているところ、
 使用している農家さんを見学して、高知が自慢できる産業だと思いました。

ご参加いただいた皆様、見学を受け入れてくださった
株式会社グリーン・エネルギー研究所の皆様、ユリ農家の森田さん
本当にありがとうございました。

えこらぼでは、これからも環境に配慮した最先端の技術・取り組みを
紹介するイベント・ツアーなどをどんどん企画していきたいと思います。
機会が合いましたら、またぜひご参画くださいね!