植物図鑑(牧野植物園 研究・教育普及部 植物研究課研究員)前田綾子さん

実家が千葉県の船橋市。今や60万人都市のベッドタウンですが、私が小さい頃は道も舗装されておらず、農家がたくさんあって、田んぼだらけでエアコンもなく、窓を開けてカエルの声を聴きながら寝るような田舎でした。あぜ道を歩くと、いろんな花が咲いてるんですよね。そういう花を見つけては「これはなんていう花なんだろう!?」とずっと思いながら歩いていたことを覚えています。その頃は図鑑なんて高くて買えなかったし、植物の名前がわかったらきっと楽しいだろうなぁとずっと思っていたものでした。

おすすめの図鑑

街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本

イメージ画像
岩槻 秀明 (著) 秀和システム

この本は植物のことが非常に詳しくまとまっています。本の中は季節別に分かれていて、その植物が帰化植物か在来種かとか、花の色、なぜその名前になったかの由来、食べられるとか,毒があるとか行った情報も載っています。
 植物の原産地や、成長するとどれぐらいの大きさになるとか、どんなところに生えるとか、似ている植物の見分け方もちゃんと載っていて、写真もたくさんあって初心者にもとてもわかりやすい図鑑だと思います。お母さんもいっしょに読んでいると、多分とってもたのしいと思いますよ!

こんな自由研究はどうでしょう

わたしたちの身近には「日本古来の在来植物」がほとんどなくなってしまって、今みなさんが町とか家の周辺で見かけるのは外来植物なんですよ。なので、植物を見つけたら図鑑と見比べて「これは外来、これも外来だ」とチェックしてみてください。自分たちの周りにあるのがほとんど海外から来た(外来種)だというのが実際にわかるので、そういったことを自由研究するのもいいですね。
 また、お花の色を決めて、家の周りの白い花を集めてみるとか、同じ種類の植物が自分の町の中でどこに生えているかを調べるのも楽しいですよ。

牧野植物園でも自由研究のアイデアが見つかります

7月から8月にかけて、夏は夜に咲く花がとても多い時期です。牧野植物園で開催する「夜の植物園」というイベントでは、普段見られない夜に花が咲く植物を観察できます。これらは夜に活動する動物に花粉を運んでもらうよう進化した種類です。
 たとえば白いレースみたいなきれいな花を咲かせる「カラスウリ」、絶滅寸前の「ユウスゲ」、名前の通りとても臭い「クサギ」。クサギの花はクサギの花は白い部分と赤い部分があって昼間も夜も目立つようにできていて,昆虫を引きつけています。花は夜になると香りを出します。匂いで動物を寄せ付けて、花粉を運んでもらうためなんですよ。
 マメ科の植物「オジギソウ」は、さわると葉っぱがパタンと閉じますが、夜は葉っぱを閉じて眠ります。オジギソウを何度もつついて眠らせると弱って枯れてしまうことがありますね。ほんとうですよ。ぜひ見に来てくださいね。

高知県立牧野植物園「夜の植物園」

8月14日(金)・15日(土)・16日(日) 21:30まで夜間開園。
場所:高知県立牧野植物園 詳しくはHPをごらんください
牧野植物園 http://www.makino.or.jp/

植物標本は新聞に挟んで乾燥させる昔ながらの方法です

植物標本は新聞に挟んで乾燥させる昔ながらの方法です。おうちでするのと違うところは、できた植物標本を零下30度に凍らせて虫を駆除するところです。標本室(ハーバリウム)には約25万点の国内外の標本を細かく分類して収蔵しています。本格的に植物のことを調べたいときには、申し込めば一般の方にも見学することができますよ。
イメージ画像

私たちが日々口にする食べ物の原種はどこから来たのでしょう?

私たちが日々口にする食べ物の原種はどこから来たのでしょう?原種となる野生植物は世界から集まってきました。「展示館」の中にあります。植物採集と植物標本の上手な作り方もよくわかるパネルもあります。
イメージ画像

高知市の領石で採取された大きなシダの化石

高知市の領石で採取された大きなシダの化石。高知はこういった貴重な植物の化石がたくさん取れるんですよ。8月1日(土)から展示館で「恐竜時代の植物たち」という展示が始まります。化石を通じて古代の植物の世界を観察するのも楽しいですよ。
イメージ画像